浪越指圧

今日は珍しく機械(EMSもインディバも)を全く使わず、すべて手で治療した。こんな日もあるんだ。。。


よく先生の治療院はどんな治療法なんですか??と聞かれる。もっともな質問だが、正直どう答えていいのか迷ってしまう。(何のポリシーもないのか。。)僕の手技の原点は浪越指圧である。ただ指圧へのこだわりはあまりない。患者さんにとって何がベストな治療法なのか??より効果の高い治療法を追求してきた結果が今の形である。もちろんこれが完成形ではない。これからもっと面白い、もっと効く治療法が見つかればどんどん形は変わっていくと思う。


浪越指圧は、あの有名な故浪越徳次郎先生が考案されたものだが、徳次郎先生から直に学ばれた多くの方々に、それぞれ違う受け取り方がある。大きく二つに分けると、一つは力を抜いて圧す指圧。もう一つは力で圧す指圧。どちらが正しいという事ではない。どちらも正解である。臨床の現場においてどちらも認められるし、必要性がある。手指の力に頼って圧したのと、手指の力を抜いて圧したのと両方とも浪越指圧であるが、性質がまるで違う。もともと徳治郎先生の指圧は、力で圧す強い指圧、痛い指圧とは違い、手指の力を抜いた当たりのやわらかい、力を抜いて圧す指圧である。(残念ながら実際やってもらった事はないんだけどね。。)指で押すという事は誰にでもできるが、指の力を抜いて圧すというのは大変難しい技術で、訓練が必要である。力を抜いて圧すからこそ圧(あつ)は深く浸透し、その効果は全く違う素晴らしいものになるのだ。


ところが浪越徳治郎先生の指圧を受けた人の中で、もっと強く圧してもらいたい人もいた。それを見た弟子が、それではと、力で圧す指圧をしたところ、“その方が気持ちがいいよ!!”ということになり、力の指圧も必然的に生まれてきた。一つの圧し方に無理やり統一することはない。共に二つの圧し方を認め、普及し合えばいい。


実は浪越指圧に限った事ではないが、僕らの業界は、ややクローズな考え方がある。自分達の手技以外は認めないみたいな考え方があるのも事実である。幸い僕は指圧学校に通っている間、柔道整復師の資格を持つ院長先生の元で研修させてもらった。周りには浪越の先輩を含め、指圧師、鍼灸師、柔整師など様々な資格、そしていろいろな治療法、考え方を勉強してきた仲間がいた。この事が今の自分には大きな財産になっていると思う。乱暴な言い方かもしれないが、治ればどんなやり方でもいいだろう。10人の患者さんいれば、治療法は10通り。これが絶対!!なんて治療法は無いのだ。


今は機械を使う様になり、以前よりは治療の効果もあがり、幅も広がっている手応えはある。しかし機械は機械であって、やはり人の手には敵わない。どんなにうまく機械を使いこなせる様になっても、どんなに素晴らしい機械が開発されても、手技が疎かでは、治療家としては失格である。いろいろな矯正手技も指圧ができなければ、何の意味も無い。基本は浪越指圧である。


原点に戻って、自分を振り返る事がなければ、新しい発見は生まれない。そんな意味でも、こんな風に手だけで治療する日があって、基本を思い出すのも大事なんじゃないかなと。
  

因みに当院のロゴ Jsは手。忘れない様にしないと。。。