インナーマッスルとアウターマッスル

最近はよくインナーマッスルという言葉を耳にする様になりました。今日は肩周辺のインナーマッスルのお話です。


インナーマッスルとは深部にある小さな筋肉群をさしています。
人は直立で生活するうえで、4〜7kgもある非常に重たい腕を常にぶら下げている状態にあります。この不安定な状態を、棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋という4つの筋肉群が上腕骨(腕の骨)と肩甲骨(背中の骨)を繋ぎ合わせて、肩関節を安定させています。


年齢と共にこの4つの筋肉が弱まってくると 上腕骨と肩甲骨が次第に離れていきます。これが四十肩や五十肩の原因の1つになります。


野球選手(ピッチャー)も激しくこの筋肉を使って投球しますが、その酷使の中で十分に強化しなかった場合、様々な故障に繋がるでしょう。


しかし、筋肉自体が深部にあり、細く発揮する力も弱いので、以前は重要視されていませんでした。棘上筋は腕を外転(腕が身体より外側、上方に向かって離れる動き)する時に、棘下筋と小円筋は外旋(腕が身体の軸を中心に外側へ回る動き)する時に、肩甲下筋は内旋(腕が身体の軸を中心に内側へ回る動き)する時に働きます。この様にインナーマッスルは主に回旋(捻り)の運動を担当します。また近位、つまり関節の近くに付着しているのが特徴です。


アウターマッスルとは表面、つまりインナーマッスルに覆い被さるようにある大きな筋肉群で三角筋僧帽筋広背筋大胸筋などです。
大きく、強い力を発揮します。ラットプルダウン、ベンチプレス、ショルダープレスなど一般的なウエイトトレーニングはこのアウターマッスルの強化になっています。非常に鍛えやすく、直線的に力を発揮します。インナーマッスルとは正反対で遠位、つまり関節の遠くに付着しています。


インナーマッスルの棘上筋とアウターマッスルの三角筋は、主に腕を外転する時に働きます。三角筋は大きな力を発揮する要素を持っているので、棘上筋より優位に働きます。インナーマッスルを十分に強化せずに、鍛えやすいアウターマッスルばかり鍛えてしまうと効果をあげられないばかりか、かえってインピンジメント・シンドローム(肩関節の骨のぶつかり症候群)などに代表される障害を誘発してしまいます。インナーマッスルである棘上筋を十分すぎるほど強化し、その上で軽めに三角筋も強化できれば理想的です。
インナーマッスルの強化は、教育するという意味もあり、簡単で地味なトレーニングを根気よく続ければ成果が上がります。軽めの負荷(20回位できる負荷)で刺激を送ればいいわけです。


頑固な肩凝りや腰痛もインナーマッスルがほぐれるか、ほぐれないか。その筋肉にアプローチ出来るか、出来ないかが治療の大きなポイントだと考えています。
マッサージに行って、その時は気持ち良いんだけど、次の日になれば、もう元にもどっている!!という話はよく聞きますが、これはインナーマッスルがほぐれていない証拠。アウターマッスルはほぐれているので、ある程度の楽な感じはあるのですが、これではあまり長持ちはしませんね。